自分が書いた小説の世界に転生！『転生悪女の黒歴史』感想レビュー

あさぎ

学生時代の黒歴史。誰しも１つや２つは心当たりがあるのでは。

あらすじ

佐藤コノハには「黒歴史」がある。中学時代の全てを懸けて書いたそれは・・・　伯爵令嬢コノハが騎士に愛される、恋と魔法の冒険ファンタジー！　ある日、「黒歴史」を母親に見つけられそうになったコノハは、焦って交通事故で本当に死んでしまう!!　次に目を醒ますと、そこは自分の創作した「黒歴史」の世界で、コノハの妹である、自分の考えた最強の悪女・イアナに転生していて？

月間ララ公式HP「転生悪女の黒歴史」より引用

主人公の佐藤コノハは、中学生の頃に自分と同じ名前を持つ伯爵令嬢コノハを主人公とした小説を書いていました。小説の中のコノハは誰にでも優しく、素敵な騎士をはじめ誰にでも愛される存在です。

一方で、主人公が転生したイアナは最強の悪女として、ただ一人の姉コノハを除いて誰にでも嫌われています。

イアナが転生した時点ではまだ起こっていないことですが、物語の中のイアナはその行い故に物語の冒頭で暗殺されてしまいます。そして、コノハはこれからとても大変でつらい冒険の旅に出ることになります。

自分が暗殺されないため、そしてかつて大切にしていた存在のコノハを守るため、イアナは自分が書いた小説の筋書きを変えようと奮闘する、というお話です。

感想

この作品で一番面白いポイントは、かつて自分の理想をいっぱいに詰め込んだ存在コノハでなく、その妹で悪女のイアナに主人公が転生してしまったことです。

みんなに愛されるコノハと誰からも嫌われるイアナ。

イアナはコノハや他の人々のために駆け回りますが、その行動が悪い方に誤解されることも多くあります。

それでもイアナは自分が書いた小説の未来を変えるため、ある意味では作者としての責任をとるために、自分が傷ついてでも人を助け続けます。

ただ自分の境遇を嘆くのではなく、人のために行動するイアナを思わず応援したくなります。

この作品を読んでいて、学生時代に特別な存在になりたかった自分を思い出しました。